アニメビデオソフトDVD/Blu-ray)が今、売れていない。なかには予約枚数が100枚以下のタイトルも現れているという。

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 アニメと言えば、日本のクールジャパンの代表選手、世界で人気、急成長のイメージが強い。実際に『ドラゴンボール』や『ワンピース』といった人気作のある東映アニメーションは、決算のたびに過去最高売上高・利益を更新する。絶好調だ。

●急激な販売減少、Blu-ray発売中止

 ところがアニメ業界でもビデオソフトに目を移すと厳しい話ばかりが聞こえてくる。かつてはテレビアニメ1タイトル1商品あたり1万枚以上の販売があればヒットと言われたが、それが8000枚、7000枚に下がり、いまはさらにそれより低い数字でも売れた方とされる。

 9月末、2018年7月から9月までTV放送されたアニメシリーズPhantom in the Twilight」のBlu-rayシリーズ発売中止が発表され、業界を驚かした。発売1カ月半前に突如の発表、予約金支払い後の中止は異例だ。公式サイトによれば、中止の理由は「諸種の事情」。本当の理由は、販売不振と臆測された。

 『Phantom in the Twilight』は、ロンドンを舞台に美形の人外キャラクターと共に活躍する少女の話だ。女性向けアイドルプロデューススマホアプリゲームあんさんぶるスターズ!』を日本で大ヒットさせた中国系企業のHappy Elementsの製作出資で作られた。しかし残念ながらこちらでは大きなムーブメントを生みだせなかった。

 国内の製作委員会タイトルであれば、ビデオソフトメーカーが責務として損失覚悟で発売することもあるだろう。しかし日本のアニメ業界としがらみがなければ、十分な利益がでないと分かったところで発売中止の決断もできる。

 そうした意味では、今回は製作の特殊な事情が、作品の不振を表面化させたともいえる。おそらく他社作品でも同様に採算が厳しいタイトルは少なくないはずだ。

 販売不振の大きな理由は、動画配信の普及である。15年にNetflixAmazonプライムビデオといった外資系の巨人が鳴り物入りで日本に上陸した。国内配信サービスも対抗するためにラインアップを強化し、さらに定額見放題の普及で低価格化も一気に進んだ。

 レンタルを中心に、アニメ視聴の多くが配信に切り替わった。これがビデオソフトの需要を圧迫したというわけだ。

●深夜アニメを支えてきたビデオソフト

 「深夜アニメ」と呼ばれる子ども向け以外の日本アニメは、長らくビデオソフト業界では優等生だった。

 映像ソフト業界は全体が長期低落傾向にある。日本映像ソフト協会の調査によると04年の3753億円をピークに右肩下がり、2017年の販売金額は1876億円と半減している。

 そのなかで大人向けアニメは08年に一度落ち込んだものの、その後は13年までは安定して売れ続けた。映像だけでなく豪華なパッケージBOXやブックレット絵コンテや特典映像、CDなど盛りだくさんの商品企画も理由の1つだ。堅調な販売から、コアファンに支えられたアニメビデオソフトは他分野と異なり、コレクターグッズとして残っていくとの見方さえあった。

 状況が一転したのが14年だ。前年比13%減の644億円を記録、以降は15年、16年と3年連続で2桁減となる。下げ率はマーケット全体より大きく、わずか3年で3割以上の市場を失う。

 17年は508億円で16年の509億円とほぼ同じだが、マーケット全体の1割以上の大ヒットとなった『君の名は。』効果が大きい。テレビアニメについては依然厳しい状況だ。

 アニメにとってビデオソフトの販売減少は、他のジャンル以上に死活問題である。深夜遅くにテレビチャンネルを切り替えると、次々にアニメが登場する経験をした人は多いのではないだろうか?

 「なぜアニメはこんなに多く作られるのか?」「どうやって商売が成り立つのか?」と疑問に思うかもしれない。その鍵はビデオソフトにあった。深夜アニメは、アニメ製作者が自ら放送枠を買い取り、お金を払って放送をする。放送局から放映権料を受け取る通常のテレビ番組とは逆だ。

 アニメテレビ放送で得た知名度と人気を武器に、その後発売されるビデオソフトで投資を回収する。長らくそうしたビジネスシステムが続いている。ビデオソフトが売れなければ、これが回らない。

 ところが不思議な現象が起きている。ビデオソフトは売れないのに、テレビアニメの本数はむしろ増える一方なのだ。日本動画協会の「アニメ産業レポート 2017」によると、00年代半ばには200本前後であったテレビアニメタイトル数は、16年には350本を超えた。

 これにもカラクリがある。アニメに関心を持つ動画配信会社や、ゲーム会社から資金が流れ込んでいるためだ。ゲーム会社はアニメゲームの認知度向上、ブランドの活性化といったゲーム広告の役割を期待する。

例えばその圧倒的な映像クオリティーアニメファンを驚かせたCygamesの『神撃のバハムート GENESIS』。通常をはるかに上回る予算で制作されている。ビデオソフトヒットしたとは聞かないが、同社がゲーム広告に投じる予算に比べればアニメ製作は大きな負担ではないとみられる。ビデオソフトがなくても、業界はうまく回るようにもみえる。

●販売減少止まった米国

 実際のところビデオソフトが無くなって、アニメビジネスは回るのだろうか? 現状では、一部はそれが当てはまっている。ただ配信会社やゲーム業界がいつまでもアニメにお金を出し続ける保証もない。00年代半ば、アニメ製作に積極投資したパチンコパチスロ関連企業が、業界の勢いが弱まるとともに存在感を薄めたことは参考になる。

 もう1つ忘れがちなのは、ビデオソフトはいまでも依然大きなマーケットであることだ。年間500億円規模は、400億円から700億円の間を揺れ動くアニメ映画興行、成長を続けるアニメ配信の478億円(16年)と並ぶ。

 さらにビデオソフトへのニーズも、今後も続く可能性が十分にある。これはいち早く日本アニメビデオソフト市場が縮小した米国が参考になるだろう。

 米国では00年代半ばに、日本アニメビデオソフト販売が急激に縮小した。一般財団法人デジタルコンテンツ協会の「デジタルコンテンツ白書 2018」によれば、最盛期の03年に約5億ドルあったマーケットは10年には2億ドルまで萎んだ。米国では日本アニメビデオソフトマーケットは滅びたと思われがちだ。

 ところが17年の販売金額も2億ドルだ。市場縮小は止まり、ここ7、8年は堅調なのである。

 筆者は、7月にロサンゼルスで開催された米国最大の日本アニメイベント、「Anime Expo 2018」に行ったのだが、そこでもビデオソフトの元気の良さに驚かされた。現地の大手アニメ会社ファニメーションのブースでは「ドラゴンボールZ」といった人気作のビデオソフトが山と積まれていた。商品の真上には、同社の配信サービス「FUNimation Now」を告知するサインビデオソフトと配信の両方が主力商品である。

 同じ「Anime Expo 2018」のセンタイ・フィルムワークスイベントにも行ってみた。萌え系や美少女アニメを得意とするアニメ企業だ。ここではビデオソフトの新タイトルリリースを発表するたびに会場から歓声が上がった。目玉は現地の声優による英語吹き替えである。日本での放送と同時展開を目指す配信は英語字幕になることが多い。時間に余裕のあるビデオソフトならではの差別化だ。

●市場ニーズより多過ぎるタイトル

 日本でも手元に置くコレクションとして、ビデオソフトには依然、配信とは異なる価値がある。見落としがちなのが保存・アーカイブ機能である。

 昨今指摘されるのが、配信契約の問題だ。膨大に見える配信サービスの作品も、視聴回数が少ないと契約が更新されない。今まであったはずの作品がある日突然ラインアップから消える現象がすでに起きている。

 例えば18年11月Amazonプライムビデオラインアップを見てみよう。『ご注文はうさぎですか?』『わが青春のアルカディア』『マジンガーZ』『魔法少女リリカルなのは』『潔癖男子!青山くん』などの配信終了が確認できる。いずれもかなりの有力タイトルである。

 手頃に見られるはずの配信なのに、どこを探しても存在しない作品が今後増えるかもしれない。それがもし自分にとってかけがえのない作品だったら……。確実に手元に残そうとすれば、やはりビデオソフトなのだ。ビデオソフトへの揺り戻しは、今後あるかもしれない。

 むしろアニメビデオソフトの本当の問題は、多過ぎるタイトル数にある。先に触れたように、配信会社やゲーム会社、そして海外企業とアニメ製作に流れ込む潤沢過ぎる資金が、アニメ業界の制作能力を超える企画乱立を招いている。本来は企画の数でなく、作品ごとの予算が増えればいいのだが、多くの製作元は自分だけの作品が欲しいのでそうはならない。

 デジタルコンテンツ白書などによると、10年前の大人向けアニメビデオソフトの市場は834億円だった。これに対する深夜アニメタイトル155本だ。これに対して16年の販売金額は509億円、タイトル数は266本。劇場映画を除外してはいるが、市場縮小に対して作品が急増したことで競争が激化したことが想像される。

 国内のビデオソフトメーカーも、赤字作品ばかりを抱え込むわけにはいかない。製作資金は配信や海外、ゲームから回収し、保存のためにソフトと言っても、ビデオソフトの発売予定が当初からない作品が今後現れる可能性もある。

 そうなれば動画配信もされず、リアルに保存するビデオソフトにもない状態になる。映像作品にとって、観客と接点を失うのは死も同然。日本アニメ文化の一部を失うことでもある。

 今後ビデオソフトの存在をいかに維持するかが、今後日本のアニメ文化において重要な課題になりそうだ。

(数土直志 アニメジャーナリスト

米国最大の日本アニメイベント「Anime Expo 2018」。アニメはクールジャパンの象徴だ


(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

オバロには今まで結構金落としてきたけど、あの3期の出来には流石に無理


みんな円盤を買わない(買えない)のに、増え続けるタイトル数。 まさに負のスパイラルですね...


そもそも円盤買わないとアニメはできないってシステム変えるべきでは


余計な特典とかいらないからユーチューブとかで1話500円ぐらいで買えるようにしてほしい


正義の味方 月光仮面や星の子ポロンとか超レアなやつを全話配信するなら買いだな


円盤?あぁ、売りスレやアフィブログが使う喧嘩のおもちゃね


収録話数が最低で2話に対して新品の値段が一本あたり6~7000円前後もしたら筋金入りのファンでも中々手が出せんだろ


「あの作品配信されてるのか、今度観よう」と、マイリストに入れて温めておいた作品がひっそりと削除されてた時のやりきれなさよ。


円盤って今も6~7千円するの?それなら売れなくて当然というかあぐらかいてんな、って思う


断捨離大流行の時代に合ってないのよね。パッケージが派手すぎて扱いにくい。


第一、円盤高すぎなんだよ。今じゃ1万円オーバーも当たり前なんだろ?4話収録で2500円だったら検討に値するんだが。


映画作品なら買うんだけどね…地上波のアニメに1080P以上の解像度や高ビットレートいらんのよね、720Pのネット配信で十分なんだわ


視聴者:価格に見合ってない品質 製作者:労力に見合ってない価格 どう考えても破綻してるのでは?


最近思うのだが必要な分だけの受注販売にすれば良いのでは?本人が欲しい作品だけ買えるし。あとは、値段が高いのと作品が多すぎる


こんなご時世に1.5万売ったウマ娘ってヤバいのでは(なお特典)


そもそもが高いんだわ 加えて払った金が原作やらアニメーターやらに行くかと思えばアホほど中抜きされてるから払う気も失せる


神バハ1期は2期が始まる前にかなり安く販売されたこともあって円盤買った。あれくらい安ければもっと買えるんだけど。神バハは作画すごいよかったし、2期も。かつて日常で炎上してたKADOKAWA価格じゃ、よほど好きなタイトルじゃないと買えないよ


なお日常はBOXで買いました


なんだろうな、深夜の通販みたいな感じであれやこれや付けてお値段バーン!じゃなくて、円盤だけにしてその分お値段下げてくれるほうが円盤自体の売上は出ると思うんだよなぁ。付録欲しいファンはそれこそ別口でも買うだろうし。


1枚にまとめろや そしたら高くても買うわ


円盤の国内外価格差も相変わらず大きいしな。国内のコアなオタクが買い支えるビジネスモデルがそもそも今の時代おかしすぎる


配信サイトを過信し過ぎてのはもっと広めるべき。例え名作でも過去作が新作程伸びる訳ないしその辺シビアな外資なら尚更、それ所か新作でも1年で消える事すらあり得る。配信サイトはアニメのアーカイブには成り得ないよ(そういう作品は既に多数ある)それと円盤高い言ってる奴は勿論何も残らんソシャゲなんかに課金何ぞしてないよな?安くなれば買うんだよな?ならBOXあるよな?な!


石黒版銀河英雄伝説ですら1話で2500円で最初は販売していた、あの声優人であの価格でね。今なんて弩素人みたいな声優ばかりで1話5000円とか買う方からしたら割りあわない。宇宙戦艦ヤマトリメーク版でもあのクオリティーで4話構成で1万円、最近の作品に比べてコスト的に安い。次は4k用のウルトラブルーレイだから、もうここまできたらバカ胸デカアニメは製作できない


中抜きとは言うが、現物にする為にどれだけの人が関わっているのか考えたら多少は納得できる。納得いかないのは、それで客も製作側も苦しいとこだ。苦しいならやり方変えるしかないだろ。


円盤は受注生産式にしてこの話数だけほしいとか特典をえらべるとかオーダーメイドにしたほうが話題性や好みに合わせられたりでいいんじゃないかなぁ。


アニメを支えてるのはビデオだけじゃなくパチンコ、スロットの存在も大きいですよね。現に最近の台は特にアニメものの台が多い。だからこそ規制を緩くしてくれよな〜頼むよ〜(>人<;)導入されても今の萌え台もそうだが出ないし飲まれるから豚共も1回触ったら二度と打たないから成り立たないんよ…


円盤は結構前からコレクターズアイテムになってると思う。レンタルはもちろんの事、ネット配信で今までより更にお手軽に見る事が出来るから円盤を買う事への精神的ハードルが上がってる


と言うか今まで円盤だけで、元取ろうとしてたことが異常だと思うんだがね。1クール約二億ですよ


VHSから大容量のDVDに媒体が移行すると聞いた時は「これでディスク一枚で全話見れる!」と思ったら、何故か高画質化して収録本数は同じ、むしろ減りさえしたという……。まあ、完全に足元見てやってた商売がいつまでも通用するわけないよね


円盤買うタイトルは値段より面白いアニメ作ってくれてありがとうって気持ちで買うから値段がよほどじゃない限り買う


経費とか諸々込々での価格設定と理解した上で言うが、再販廉価版並の1作品1BOX1万5千円くらいまで落ちれば買いたい作品も多い。全巻手に入りきるまで時間がかかるのも初動に悪影響を及ぼしているのではないだろうか


ストリーミングサービスは動画が視聴不可になるのが弱点。


値段が高いの一言に尽きる


高すぎ定期


月額固定で見放題、円盤みたけりゃレンタル、何より置く場所がないんだよ


1週間以内75%買取してた店があった頃はお布施で買ってたが完全に死滅したんで買わなくなったまだ1店だけ60%で踏ん張ってる所はあるが、今の万超え円盤じゃそれでも4k以上の負担だしなあ


まあヘタレニワカじゃ今のアニメ産業を買い支えるのは無理であろうwまあ俺たちは昔のアニメしか買わないしwザンボット3ブルーレイボックスもちろん予約済みよw


自社のネットやサイトでアニメを流したり、文章に載ってたようにように、テレビ局へ払うのではなくもらうシステム。で外資系のネットにアニメを売ってテレビのほうは本数を少なくすればいいのでは?


最近、逆輸入物に対抗してるのか、一気見用みたいのも出てて、全話セットで・・・まぁ万は越えるんだけども、短巻買うよりもお得な奴がちらほら。限定特典とか気にしないのならそっちで買うといい。結局全ての作品を網羅してるところなんてないし、自分だけの作品ってのがあったら買うしかない。てか業界改善しろ定期。


じょしらくとのんのんびよりは買った。OADも全部。


あくまで個人使用のみで画質とかをさほど問わず本編を見返せればいいって言うなら、公式が配信中の動画をダウンロードなりキャプチャなりすればいいっちゃすればいいんだけども


昔のオタクは、歯抜けになるのが嫌だって理由で、ハルヒのエンドスレエイトのDVDを血の涙を流しながら買っていたよなあ・・・


dアニメのステマかと思った


映像作品のダウンロード販売はもっと大々的にやるべきだと思う。中間コストを大幅に減らせるし